長時間作業による体のトラブル
「在宅ワーク」というと、自由で精神的にも負担がかからないというイメージがありますが、なかなか現実はそうもいきません。例えば、肉体的にはパソコンに向かっている時間が長いため、肉体的苦痛、肩こりや腰痛などに悩みがちです。そんなときの対処方法をここでは考えていきましょう。
●肉体的苦痛をやわらげるには
パソコンへ向かう正しい座り方は、直角に座って軽く背中を椅子にもたせかけます。肘を曲げたときにちょうど机にのる程度で、おへそと机の間は拳が1個分入る程度あけておきましょう。足を組んだりすると背骨が曲がるので、きちんと床に着けておきます。
以上が正しい姿勢ですが、長時間座っていれば腰痛や肩こり、目の疲れは避けられません。それを少しでもやわらげる道具として、足や手首をのせておく器具や、モニターにつけて目を疲れさせないフィルターなどがあります。
また、痛みを取るには軽い体操が適しています。椅子から立って前と後ろに上体を曲げたり、ダンベルあるいは本を手に持ってぐるぐる腕を回す、首を回すなど、いろいろあります。パソコンのキーパンチャーの人は15分ごとに休むといわれているので、一般の人も1時間以上も続けるのは健康に悪いでしょう。
またパソコンから出ている電磁波は、不妊の原因になったり、ストレスを募らせたり、人の体に悪影響を与えるともいわれており、一日中パソコンの前に座って仕事をしている人に対して、その影響が懸念されています。現在、電磁波から身を守るためのさまざまな商品があり、例えば再生ポリエステルを利用した電磁波を遮断するエプロンなども開発されています。裏地に使われている特殊な金属化繊を用いた生地が電磁波を遮断するそうです。普通の家事用エプロンより生地はしっかりしていて、肩こりなどの心配もほとんどないようです。
<パソコンに向かう正しい座り方>
●背は少しもたれる
●腕は自然に曲げる
●拳が一つ入る程度にあける
●足は床につける
「在宅ワーク」は案外孤独
「在宅ワーク」は人と接することが少ないので、人間関係のストレスがあまりないと思われがちですが、それは全く違います。
実際に会わなくてもメールでのやりとりなど、コミュニケーションは生じるので、対応などで悩みは生じます。そういう場合、周りに誰もいないので相談できず、かえって精神状態が悪くなる場合もあります。ストレスを感じたときは、同じ悩みを持つワーカーにメールを送ったり電話をしたり、あるいは気分転換に出かけたりしましょう。
●精神的にまいらないために
育児ストレスという言葉もあるように、人間は悩み事があるのに孤独な状態だとストレスがたまります。「在宅ワーク」も仕事ですから、失敗もあり悩みも多いでしょう。そんなときに相談できる友人がいることが大切です。例えば、一緒にオンラインで仕事をすると共同意識が芽生え、友人が生まれます。「在宅ワーク」ですから、なにも会って話せなくてもかまいません。メールを書くだけだって立ち話と同じような効果があります。例えば、育児中で思うように外に出られなくても、自宅にいながら地域の仲間作りをすることができます。それを可能にしたのが、インターネットなのです。もし英語を読めれば、いながらにして世界中に友人を作れるのです。そのためには、普段からインターネットで「在宅ワーク」関連のフォーラムを探したり、挨拶のメールを出したり、コミュニケーションを取っておくことが大事です。メーリングリストや会議室も探してみましょう。
インターネットの良い点、悪い点はいろいろ討論されていますが、国境も時差も超えて、すべての人に平等にチャンスを与えてくれているのがインターネットの最大のメリットです。せっかく在宅ワーカーになっても、人と関わってつながりを増やさなければ、そのメリットを何も享受していないと同じなのです。
ただ、人と関わりあえば、一方でストレスがたまるのも事実です。それは、素晴らしい人と出会えるかもしれない幸福を得るために払っている代償、と納得してしまったほうがいいでしょう。ひとりで悩むより、この文明の利器をどんどん活用しましょう。
【Column】
インターネットで仲間を増やす
登録会社や、在宅ワーカーを応援する個人運営のホームページなどでは、在宅ワーカーのために意見交換、仲間募集、相談の場を提供していることがあります。心配事があったときなどは、ひとりで悩んでいないで、このような場で相談してみてはいかがですか? 同じような悩みを経験した在宅ワーカーが相談に乗ってくれるかもしれません。
また、インターネットを通して知り合った仲間同士で、実際に会う機会を設けたりすることも多いようです。
いざというときの知り合いは多いに越したことはありません。あなたも積極的に仲間を見つけましょう。
【体験談】
在宅ワークで広がる友だちの輪
(座談会)
以下は、4人の在宅ワーカーの座談会です。「在宅ワーク」歴1年未満~3年、職種もデータ入力やデザインなど、まちまちです。
4人とも初対面ですが、「在宅ワーク」という同じ形態で働く者同士、会ったとたんにお互いのことがわかり合えるようです。「在宅ワーク」は案外孤独……そんな心配をしている人も、勇気を出してメールなどで意見交換してみましょう。きっと、すぐに理解し合えるようになりますよ。
Aさん「4人のなかで私だけ独身なので、皆さんにぜひ聞いてみたいんです。家事や育児もしながら『在宅ワーク』をこなすのって大変じゃありません?」
Bさん「まず、女性が働くことをよしとする男性と結婚することも大切です。そういう人はある程度、手伝ってくれますからね」
Cさん「確かに、夫の協力がないと、やっぱり難しい」
Bさん「あとは、家事の時間と仕事の時間は、とにかく分けてしまったほうがラクです。私の場合は、昼間はメールのチェックだけしておいて、家事と育児に専念しています。で、夫が帰ってくる11時ぐらいまでに、集中的に仕事をしてます。
Dさん「うちはまだ子供がいないから、家事は夫が出かけたあとにいっきに片づけて夕方まで仕事。でも、子供ができたらどうなるかな?」
Cさん「そうなったら、睡眠時間を削るしかないですよね。私の場合、このままだと体をこわしてしまうと思ったので、ついに下の子供は保育園に入れたんです」
Dさん「でも、苦労も多いけれど、仕事を通じていろいろな人とのネットワークが広がるのが、やっぱり『在宅ワーク』のプラス面でしょうか」
Cさん「それにわずかでも夫のお給料じゃないお金が自分に入ったときは、すごくうれしいですしね(笑)」